税務
年末調整にあたってのポイントと留意点
今年もそろそろ年末調整を行う時期となってきましたので、ポイントと留意点をまとめさせていただきます。
2019年は大きな改正点はなく、ご存知のことも多いかもしれませんが、年に1回のことで忘れられていることもあるかと思いますので、資料収集前の確認等にご活用ください。
【年末調整で受けられる控除】
年末調整で受けられる控除の種類と内容は、別表のとおりとなっています。
(画像をクリックしていただくと拡大します。)
【確定申告で受ける控除】
確定申告で受ける控除の種類と内容は、別表のとおりです。
(画像をクリックしていただくと拡大します。)
これらの控除を受ける場合は、別途、確定申告が必要となります。
また、年末調整で控除を受け忘れたものがある場合も、確定申告をすることで控除が受けられます。
【家族構成及び各人の収入の確認】
「扶養控除等申告書」には家族構成を記入します。まず大前提としてここに記載されるのは全ての家族ではなく、自身が扶養している家族のみを記入します。
扶養とは、
配偶者であれば 、給与収入0円~201万円
子供であれば 、給与収入0円~103万円
ご両親または義理の両親(65歳未満)であれば 、年金収入0円~108万円
ご両親または義理の両親(65歳以上)であれば、 年金収入0円~158万円
の家族の方を指します。
特に、お子さんでアルバイトをしていて年間給与が103万円を超える、またはご両親(65歳以上)の年間年金収入が158万円を超える場合は注意が必要です。
配偶者の方も2018年から制度が変わった都合上、年収が103万円を超える場合は、ある程度正確な年収の情報が必要になります。ご注意ください。
マイナンバーについては、過去その従業員さん及び家族の方から収集済みであれば、毎年記入していただく必要はありません。しかし、今年新たに扶養する家族が増えた、または今年新たに採用した従業員さんであればマイナンバー欄の記入が必要となります。
込み入った話にはなってしましますが、家族欄に記載した方のうちに障害をお持ちの方がいればその旨も記載が必要です。障害者手帳のコピーを添付してもらうのが一番良いやり方です。また、シングルマザー(ファザー)の方もきちんと記載をしていただく必要があります。このあたりの話は、後日ご本人へ質問するのが申し訳ない内容なので、自己申告していただくように事前にご指導いただければと思います。
最後に、2019年中にご家族の中で亡くなられた方がいる場合に、その亡くなられた方が扶養の対象になる方であったならば、2019年に限り記載が必要です。これは亡くなられた時点で扶養かどうかを判定するためです。
【生命保険等のハガキ及び国民年金等】
毎年10月下旬頃に各保険会社から年末調整用の証明ハガキが届きます。ご存じの方も多いですが、生命保険控除は上限がありますのでハガキの枚数が多くても控除は増えません。従業員さんが各自判断してくれれば一番問題ないですが、そこまで求めるのは酷でしょう。とりあえず届いた分は漏れなく提出するように指示してあげてください。
生命保険の場合に契約者は奥様でも実際の保険料の支払はご主人がしているケースがあります。この場合は、たとえ契約者が奥様であっても、ご主人の年末調整で控除ができるので、忘れずに添付をしてもらうようにしてください。
子供が学生の場合、または一時的に休職している場合に、親が国民年金や国民健康保険を負担してあげるケースがあります。この場合でも負担した分は年末調整で控除可能ですから、その証明ハガキを添付してもらうようにしてください。
65歳以上の方で会社の社会保険に加入せず、自身で健康保険、介護保険を負担している場合にも、証明ハガキ等が必要です。
【住宅ローン控除】
住宅に住み始めて2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることができます。
その際必要になるのは、
・全ての金融機関の借入金年末残高証明書
・税務署から届いた「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」2019年分
借入金の残高証明書は忘れにくいですが、税務署から届いた「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」は添付漏れが多いですのでご留意ください。
なお、住宅が共有名義の場合には上記書類だけでは計算ができません。「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」の備考欄に借入金の負担割合を必ず記入してもらいましょう。ちなみに共有名義の場合には借入金の残高証明書にその旨が記載されています。
また、住宅ローンの借り換えをしている場合も注意が必要です。借り換えの場合は借り換え直前の住宅ローン残高を基とする計算が必要になるので、借り換え後の残高証明にその計算式を記入してもらうか、もしくは借り換え直前の旧住宅ローンの残高が分かる書類の提示をお願いしてください。
【収集作業及びスケジュール】
留意点は上記のとおりですが、これに加えて2019年に中途入社された方は前職の源泉徴収票が必要になります。2019年に数回転職をしている場合にはその全ての会社の源泉徴収票が必要です。このあたりも履歴書等でしっかり確認してください。
タイムスケジュールですが、毎年10~11月には生命保険等のハガキや税務署からの年末調整用の用紙が届きます。ですから用紙の配布は早めに行い、11月中に全ての資料を収集し、12月上旬に内容の確認をして全ての情報を計算ソフトへ入力、そして12月給与を入れて完成、という流れが一番スムーズかと思います。