税務
書面添付制度を活用しませんか?
税理士は毎年の確定申告書提出時に決算の具体的な内容を記載した書類を添付することが出来ます。これが「書面添付制度」と呼ばれるものです。
確定申告書には税金計算の内容が記載され、財務諸表には売上・経費・利益が記載されています。しかし、これらの書類は結果が記されているだけです。どのような経緯でこの結果に至ったかを記す書類が「書面添付制度」で添付される書類となります。
その計算に必要な書類として何を確認したのか?どのような法的根拠に基づきその計算をしたのか?について、可能な限り詳細に記入します。また、その決算に当たり顧問先企業からどのような相談を受けたのかも記入します。作業報告書をイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。しかし、この「書面添付制度」は強制されているものではありません。
決算に至る過程を報告(説明)するという点で「税務調査みたいだな・・・」と感じられた方もいるかと思います。まさにその通りで、「書面添付制度」とは税務調査が入る前に税理士が自ら「この企業はこのような決算処理をしています」と税務署に報告する制度のことです。ですから強制はされていません。
また、税理士も当然メリットがないと行う必要性がありません。メリットは「書面添付制度」に従い書面を添付してあれば税務調査の前に税理士に対し「意見聴取」が行われる点です。「意見聴取」とは、税務署において調査官が提出された書面を基に税理士に意見を求める行為のことです。税理士は自身で作成・提出した申告書・決算書について聞かれたことに返答が出来ます。この「意見聴取」は「書面添付制度」を活用した場合にのみ機会が与えられます。「意見聴取」で実際に会社へ赴き調査を行う必要がないと税務署が判断した場合には、「税務調査省略」となります。これが「書面添付制度」の最大のメリットと言えます。
税理士会は「この税理士に与えられた権限を活用して欲しい」と盛んにアナウンスしていますが、実際の添付率は低い水準で留まっています。要因は以下の点が考えられます。
1.「意見聴取」の結果、税務調査へ移行したら税理士の能力がないと顧問先に判断される恐れがある。
2.「書面添付制度」の書面に記載した内容に間違いがあれば税理士法に従い処罰を受ける可能性がある。
3.そもそも作成に時間とコストがかかる。
これが一般的な認識です。
しかし、ミライズ税理士法人としては「書面添付制度」は活用すべき制度であると考えています。
中小企業経営者にとって「税務調査」は大きなストレスの要因ですが、「書面添付制度」を活用すれば「税務調査省略」の可能性があります。活用しなければ可能性自体ゼロになってします。
経営に当たり「特にやましいことはない」「税務調査に来られても問題ないが時間を取られるのは大変」という方は是非「書面添付制度」を活用すべきだと思います。
ミライズ税理士法人は前述した3つの要因について以下のような考えで対応しています。
1.「意見聴取」の結果、税務調査へ移行したら税理士の能力がないと顧問先に判断される恐れがある。
→「意見聴取」の結果「調査省略」になるかどうかは現状50%程度の確率だそうです。「意見聴取」する時点で税務署は調査対象法人として関心を持っている訳ですから、基本的には調査へ行きたい訳です。ですから当法人としては税務調査へ移行する事自体はやむを得ないと考えています。移行しても事前の「意見聴取」で税務署が何に関心を持っているかを把握することは可能ですので、「調査省略」となれば満点の出来ですが「調査移行」でも収穫はあると考えています。
2.「書面添付制度」の書面に記載した内容に間違いがあれば税理士法に従い処罰を受ける可能性がある。
→例えば書面に「売上漏れは一切ない」と記載したのに税務調査で売上漏れが見つかれば虚偽の記載になり罰せられます。しかし「売上漏れが生じないようにこの資料とこの資料を確認した」と記載したのであれば、その資料自体に問題がなければ虚偽の記載にはなりません。この制度以前に、当法人では税務調査時に問題が生じないよう、可能な限りのチェックをして決算処理を行っていますが、そのチェックした項目を記載することは虚偽の記載には当たりません。
3.そもそも作成に時間とコストがかかる。
→これは致し方ありません。時間とコストの分は決算料に上乗せする形で報酬を頂くことになります。金額は業種・規模によって異なるので応相談のうえ見積書を発行させて頂きます。しかし報酬に見合う価値のある制度だと考えています。
税務調査に備え、こちらから毎期決算の都度税務署へ「書面添付」という形で報告する。これはこのコンプライアンス厳守の時代では必要な事項だと考えます。ご興味があれば是非ご連絡下さい。